水族館プロデューサー 中村 元水族館プロデューサー 中村 元

イベントレポート

2022春(vol.41) 〜スタッフもイキモノなんや!〜

バナークリック or タップで
東京カルチャーカルチャーの
イベントページに飛べます

待ちに待ちったが『中村元の超水族館ナイト2022年・春』が開催されました。

当初は2月に行われる予定だったのですが、新型コロナウィルス感染拡大(第6波)の影響で4月に延期にとなっていました。でも、そのおかげで久々の満員御礼!スペシャルゲストも無事、渋谷に辿り着くことが出来ました。

そう、長引く引くコロナ禍であらゆる集客施設が苦境にあえぐ中、唯一気炎を上げ続けている 桂浜水族館 ”ハマスイ” が今回のゲストです! 館長の 秋澤志名さん “まるのん” の愛称で人気急上昇中のイケメン海獣トレーナー・丸野貴也さん が第二部のゲストとして登壇してくれました。

桂浜水族館は高知県の景勝地・桂浜にある老舗水族館…と言ってしまえば聞こえは良いのですが、施設的には老朽化の目立つ、時代に取り残されたかのような「ザ・昭和」な水族館。それでも個性派揃いのスタッフにスポットを当てた独自路線のSNS戦略がバズりにバズって、全国各地にハマスイマー(ハマスイのファン)が爆増中。ねとらぼの「全国人気水族館ランキング」では2021年に続き2年連続で全国1位を獲得するなど、コロナ禍さえもプラスに変えて邁進する様は正に水族館界の ”生ける伝説”

中村元:
「オレさ、いつも言うてるやん?『話題になる生き物がいなかったらスタッフを売りにするんや!』って。それを完全無欠に実践して、大成功しているのが桂浜水族館なんよ!」

そのマインドは、今、落ち込んでいる人、悩んでいる人が浮上するヒントにもなるのかも!?

中村:
「言うたら自分磨きの回やな。しかも、志名館長もまるのんも周囲を元気にするオーラめっちゃある人だからね!」

その言葉の通り、この日は客席全員が超笑顔! コロナ禍の憂鬱を吹き飛ばす”神回”となりました。

客席には「ゲストが桂浜水族館だから初めて超水族館ナイトに来た」というお客さんも多数。

中村:
「今日はゲストをディスったりしません!(笑)。大事なお客様として扱いますので、このイベントに初めて来てくれたハマスイファンの皆さん、どうぞよろしくお願いします!」

そんなこんなで超水族館ナイト2022・春、スタートです!

ハマスイが超水族館ナイトに!
中村元さん
テリー植田さん(司会進行)


レポート本文へ移る前に、この日は物販も行われていたのでご紹介。
桂浜水族館のオリジナルグッズがズラリ!

まるのん(左)と秋澤館長(右)がハマスイオリジナルグッズを全力PR中!
おとどちゃんのぬいぐるみ
(サイン入りポストカード付き)
大人気で早々に売り切れに!
おとどちゃんソフビフィギュア。大人気過ぎて一時品薄となり、フリマサイトで高額転売も続出したという幻の逸品が超水族館ナイトに!
アナタもおとどちゃんになれる!?
おとどフードブランケット
アシカの毛などが入ったお守り
私はこちらをお買い上げ(笑)

第一部より

■ スタッフもイキモノなんや

さて、今回の第一部のトークテーマは『スタッフもイキモノなんや』でした。これには二つの意味が込められているそうです。
 

①スタッフも展示物

一つは冒頭にも記したように「スタッフも生き物同様に ”売り” にできる」というもの。中村さんは鳥羽水族館時代に日本の動物園・水族館業界では初となる広報専門の部署を立ち上げたことでも知られています。

中村:
「いかにメディアに『鳥羽水族館』の名前を出すか、そのためのネタを提供するか、それが仕事でした。」

今は誰しもがインターネット使って、どこのにどのような水族館があるかを簡単に検索できますが、当時は情報は受け身の時代。とりわけテレビは莫大な影響力を持っていました。

中村:
「だから鳥羽水族館の話題がテレビでちょっと流れただけでも、お客さんが確実に増えたんです。あんな田舎の鳥羽まで東京からお客さんが一生懸命来てくれる。そんな状況を生み出せたんですね。」

テリー:
「なるほど。僕は奈良県桜井市で育ったんですけど、『わくわく動物ランド』を見て『ラッコに会いたい!』と思って親に頼み込んで鳥羽水族館に連れて行ってもらいました。」

中村:
「ほらね。あのラッコの映像は僕が撮って番組に提供していたんです!(ドヤ顔)」

子どもの頃に鳥羽水族館にラッコを見に行った思い出を語るテリーさん

何もラッコのようなアイドル動物でなくてもお客さんは増やせるそうです。

中村:
「例えば『カメの赤ちゃんが孵化して砂の上に出てきました!』とかね。それがどんなカメであってもテレビに映像が流れれば大人気になって『見たい!』と言ってお客さんが沢山来てくれます。だから一生懸命に生き物ネタを探しては撮影をしていました。」

…とは言え、相手は生き物。どうしてもネタが尽きてしまうこともあります。

中村:
「『赤ちゃんが生まれました!』とか、そんなイベントが年がら年中起こるワケがないからね。そんな時に『そうや!スタッフをネタにしよう!』と思いついたんです。」

鳥羽水族館は日本国内では2番目にホームページを持った水族館だそうで、携帯(今で言うガラケー)専用サイトもいち早く導入。

中村:
「ホームページの中に ”スタッフ日記” のコーナーを作りました。スタッフに投稿用のアドレスを配って『好きなことを自由に書いていいよ』と言ったんです。」

今では多くの水族館・動物園のホームページでも見かける ”スタッフ日記” ですが、ブログが流行るよりもずっと以前に、中村さんはその先駆けとなるコンテンツを作っていたのはさすがです。そのスタッフ日記の効果で、鳥羽水族館のホームページへのアクセス数は増加し、それに連れてお客さんも増えていったそうです。

中村:
「その過程で一番興味深かったのは、生き物のことについて書いた日記よりも、スタッフが『今日うっかりプールに落ちました。長靴がグチョグチョです』と綴った日記が一番ウケたのね。そうしたら、なんと『プールに落ちたスタッフの○○さんに会いたい!』と言って本当にお客さんが来てくれたのよ!」

ここまで来たらスタッフも生き物同然。いや、生き物よりもむしろ沢山のネタを作れるかもしれない。

中村:
「これが以前から何度も言っているけど 『スタッフも展示物』というヤツです。」

さて、今回は「スタッフも展示物」ではなく、あえて「スタッフもイキモノ」と表現したのは、もう一つの意味を含ませたかったからだそうです。

2022/04/17