2021秋(vol.40) 〜過激に水族館展示論ライブひとり〜
■ カスタマーズ心理を見極めよ
最後にこんな問題が出題されました。
中村さん
「図のような(単純化モデル化された)水族館があります。一番多くの人が観覧し、長く滞留するのはABCDEのどれでしょう?」
正解はA、以下そのまま順でBCDEだそうです。
中村さん
「水族館に入場してすぐの場所にある小さな水槽の並び(A)はたいした水槽ではないのだけれど、入場したばかりで、お客さんは入場料の元を取ろうと見る気満々です。だから一生懸命に見る。しかも水槽が小さくて複数あるから余計に人が滞留しやすい。」
動物園だったらライオン、トラ、ゾウ、キリン…といった具合に展示の内容が想像がつくので、園内マップで探して見たい動物のところへ即向かう人も多いと思われます。しかし、水族館は館内の広さや水槽の数、展示の内容が想像がつきにくく、結果、入場直後は端から順に見ていく傾向が強くなります。
中村さん
「そして、不思議なことに世間一般の人は水族館は1時間ぐらいで見て回れると思っているふしがあるのね。実際はそんなことはなくて全部をちゃんと見たら5~6時間かかるなんて水族館もたくさんあるんやけど(笑)。」
見学所要時間1時間のつもりで来場したお客さんは時間の経過とともにチケット代の元が取れたと感じ始めたり、次の予定が迫っていたりで、一つ一つの水槽を見る時間がだんだん短くなっていきます。最後の水槽(E)なんて殆ど見ないで帰ってしまうそうです。せっかくの新館展示(D)ですらアバウトに眺める程度だったり…。
中村さん
「多分、水族館側は、はじめちょろちょろで、だんだん盛り上げていって終わりの方で新館でドーン!…という思惑だったりするんやけど、実際のお客さんの動きは全く違っていることが多いのね。分かり易い例えが、しながわ水族館。一番新しくて一番お金がかかっているはずのアザラシ館(Dに相当)は全入館者の3割ぐらいの人しか見ていないです。でも(エントランス横の)鯉はほぼ100%の人が一生懸命見てる!」
客席:(笑)
各水槽の展示内容もさることながら、その配置・構成に至るまでカスタマーズ心理をきちんと把握した上で展示開発を行うこと。そのためにマーケティングをしっかりと行うことが重要になってきます。
中村さん
「こんな展示論を教えているのはこの中村元だけや!(ドヤ顔)」
テリーP
「いやぁ、勉強になりました!」
超水族館ナイトではこれまでにも展示論に関する話題がかなり出てきましたが、今回は中村さんの独り喋りということもあって、時間をかけてじっくりと体系的に中村さんの展示論トークを聴くことができました。非常に貴重な回になったと思います。

次回告知
次回、第41回目の超水族館ナイト(2022年・春)は、2022年2月6日(延期:4月17日)です。まさかまさかのハマスイ(桂浜水族館)から! あの異次元マスコットおとどちゃんの産みの親・秋澤志名館長と、人気急上昇中のイケメン名物トレーナー・丸野貴也さんが満を持してカルカルに登場します。
中村さん
「オレさいつも言うてるやん? 話題になる生き物おらへんかったらスタッフを売るんや!って。それを完全無欠に実践して、大成功してるんが桂浜水族館なんや!」
ずばりタイトルは ”スタッフもイキモノなんや!” 。
ハマスイの超ポジティブなパワーを浴びて元気になりたい人は是非お越しください!(もちろんオンライン配信も有ります!)。直前情報として物販も行われるとのこと。各所で話題の「おとどちゃんフィギュア」や、破壊力抜群「おとどちゃんブランケット」も数量限定ながらラインナップされるとのこと。お楽しみに。

おまけ
『超水族館ナイト』のお楽しみと言えば ”公開打ち上げ” ですが、まだまだコロナ終息には程遠い状況ということで、公開打ち上げは当面見合わせとなっています。…が、配信終了後、リアル参加のお客さんには恒例のジャンケンによるプレゼントコーナーがありました。



おめでとうございます!
(文&写真:須釜浩介)