2020春(vol.35)~儚くて漂う大和の海月かな~
8.オレの客はクラゲを見に来ている!
突如明かされた加茂水族館のリニューアル計画。具体的なビジョンは今後徐々に明らかにされていくと思われますが、
奥泉館長
「新しく作る展示は大きさで勝負はしません。クラゲの細かいところを色々とお見せします!」
と基本コンセプトを明かしてくれました。さてどんな展示になるのやら…。
そうそう。細かい展示といえば、加茂水族館では既にバーカウンター風のテーブルにクラゲのライフサイクルを展示し、ルーペで観察してもらう試み等が行われています。前半の部でクラゲ水槽の個体数を維持するにはバックヤードでクラゲを増やし続けなければならないといった話がありましたが、
奥泉館長
「バックヤードで飼育して意味ありますか? 僕はそれも可能な限り限り展示しました。ひょっとしたら小さすぎてルーペでも見えないかもしれない。でもこれはこんなに小さいんだということ発見してもらうためのもの。見えなくても立派な展示でなんです。」
トークはここから ”展示” の考え方へ…。
中村さんは自身の ”水塊”論 に則って「お客さんはクラゲを見ているのではない。クラゲを通して水の流れを見て癒やされているんだ」と説明してくれましたが、それに対して奥泉館長は「そんなことはない! 加茂水族館のお客さんはみんなクラゲを見に来てくれている!」とキッパリ。
テリーP
「なるほど。そこは意見の分かれるところなんですね。そもそもお二人は立場が違いますからねぇ。」
奥泉館長
「中村さんは(水族館プロデューサーとして)お客さんを呼ぶのが仕事だと言っているけれど、僕も毎年50万人以上のお客さん集めているよ。 最寄りの駅から徒歩90分。山形のそんなの場所にある水族館にですよ? そもそも中村さんと意見が違ってもそれは多様性。色んな価値観があっていいんです!」
中村さん
「まぁ、そうやね。」
酔いが回って時々言葉にならない場面もあった奥泉館長でしたが、最後は中村さんを圧倒する勢いで「オレのクラゲを見ろ!」と渾身の火の玉ストレートを投げ込み、満員のお客さんから大きな拍手が沸き起こりました。そんな奥泉館長が創る4年後のリニューアルが楽しみです。
奥泉館長の記した ”わかったこと” がどうにも分かりにくい(苦笑)のですが、要するに餌やりも掃除も仕事もやり過ぎずに程々に、でも「想い」「情熱」は持ち続けよ…ということでした。
テリーP
「最後にひと言、メッセージをお願いします。」
奥泉館長
「いやぁ、クラゲっていいもんですね。さいなら!さいなら!」
客席:(大爆笑&大拍手)
次回予告
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で超水族館ナイト2020・夏のリアル開催は残念ながら中止に。代わりに6月第3週に配信イベントを予定。 ”リアル” な超水族館ナイトは 次回は秋(10月)の開催予定です。詳細は近くなりましたら中村さんのSNSやカルカルのスケジュールページをご確認ください(約2ヶ月前に情報が上がります)
まとめ
クラゲブームに かもすい&奥泉館長人気が加わって、チケットが早々に完売した2020年代最初の超水族館ナイト! 前半は日本神話も絡めた中村さんによる深いクラゲトークに聞き入り、後半はゲストの奥泉館長がファンタジスタぶりを発揮して大変な盛り上がりとなりました。本イベントの直後に緊急事態宣言発令され、全国の水族館が一斉に休館となった影響で、今回紹介された春誕生のクラゲ新展示は軒並み公開延期となってしまいました。こんな状況で無観客配信を一回挟みますが、秋にはたくさんの土産話を持ってみんなで、またカルカルに集まれたら良いなと思います。
おまけ/打ち上げの様子
『中村元の超水族館ナイト』では毎回終演後に 公開打ち上げ が行われています。水族館好きの仲間を作ったり、もちろん出演者と直接交流することもできます。本イベントは全国各地の水族館・動物園のスタッフさんもお客さんとして多数来場しているのも大きな特徴の一つ。”なかのひと” と友達になる絶好の機会でもあります。
そして、大盛り上がりとなるのが出演者やお客さんが持ち寄った景品が当たる ”じゃんけん大会”。
「クラゲ夢パスタ」は玉谷製麺所が鶴岡市立加茂水族館とコラボレーションして開発したもので、かもすいのレストランで提供されているトラフグの白子を練り込み、クラゲの赤ちゃん(エフィラ)など6種類のクラゲの形に仕上げたもの。
(文&写真:須釜浩介)