2019春(vol.32)〜へんなヤツこそ生き延びる!〜
※この記事はイベント会場の ”東京カルチャーカルチャー” のWebサイトに掲載されていた
公式ライブレポートを一部修正の上、転載したものになります。
平成最後となった 『超水族館ナイト( vol.32)』 を振り返っていきます。
テーマは ”へんなヤツこそ生き延びる!” でした。
”へんなヤツ(姿や生態が変わった生き物)” という言葉をネガティブに捉えてしまう方もいるかしれませんが、あくまで人間から見てたら 「変だなぁ」 という話であって、また、その 変な容姿や変な生態 は自然界の厳しい生存競争を勝ち抜く ”強み” となっていることも非常に多いと言えます。人間社会においても、成功者と呼ばれる人達はどこか変わり者…と言っては語弊あるかもしれませんが、行動であったり、考え方であったり、世間一般の人達とは明確に異なった何かを持っている人が多い気がしませんか? 「この秘密を解き明かしたら、ほぼ全てのダメ人間の未来が開けるよ!」 と中村さん。前半の部(第一部)では、中村さんの軽妙なトークに導かれて、その ”秘密の鍵” を開けに行きます。
開演時刻となりお馴染みの ”超水族館コンビ” が登場!
中村さん(挨拶)
「今日のテーマは 『へんなヤツこそ生き延びる!』 です。皆さん、ようこそ! 変な人ばっかりよくもこんなに沢山集まって頂きました!(笑) 皆様の ”変さ” がこれからもドンドン発揮されるように祈念致しまして… 乾杯! 」
超水族館ナイトの乾杯にはコチラ( ↓ )がオススメです。
「超水族館カクテル」は超水族館ナイトをイメージして創られた特別メニューですが、実は毎回アレンジ・レシピを変えていて、今回は ライチ+ブルーキュラソー+ソーダ+レモン&ライムビール+グレープフルーツジュース。爽やかな味と色のグラデーションが楽しめるカクテルとなっていました。しかも、今回は、
コチラ( ↓ )も恒例のイベント限定フード。今回は「釜揚げしらすと九条ねぎのナンピザ」、「あんこうの唐揚げ」、「寒ブリのカルパッチョ」の3種類。
出演者紹介
■ 中村 元
~水族館プロデューサー
成城大学卒業後、鳥羽水族館入社。水族館では国内初の広報室の設置や、動物番組の制作に携わりながら集客力アップさせるなど ”仕掛け人” として手腕を発揮。同水族館を副館長で辞職し、2002年より日本で唯一人の水族館プロデューサーとして独立。「新江の島水族館」や「サンシャイン水族館」、「おんねゆ温泉・北の大地の水族館(山の水族館)」、「マリホ水族館」など、数多くの水族館の展示プロデュースを手掛け、大ヒットを連発。特に、大きな困難や難題に直面している水族館に寄り添い 『弱点を武器に変える逆転の発想法』 で人気水族館へと生まれ変わらせることに長けている。2008年より東京カルチャーカルチャーにて本イベント 『中村元の超水族館ナイト』 を主宰。東京コミュニケーションアート専門学校(TCA)の教育顧問であり、北里大学では学芸員コースの展示学の講義を担当するなど、”中村イズム” を継ぐ後進の育成にも力を入れている。
テリー 植田
~東京カルチャーカルチャー・プロデューサー
中村さんと共に 『超水族館ナイト』 を進化させて続けて 11年目。中村さんとの絶妙な掛け合いトークが人気。1300本以上の企画・プロデュースを行った経験を元に綴った 『誰も教えてくれない イベントの教科書(本の雑誌社)』 を2019年2月に発売。三輪そうめんで有名な奈良県桜井市の出身で実家は三輪そうめんの製麺所であり、夏場を中心に そうめん研究家・ソーメン二郎 としても活躍中。今夏にはソーメン二郎企画の初の創作絵本 「そうめんソータロー(ポプラ社)」 も発売される。
前半の部より
1.弱点があってこその進化
中村さんは過去の超水族館ナイトの中で 「弱点を武器に変える発想転換術」 について、具体例を交えながら何度も語ってくれています。その方法には2通りあって、1つは 弱点をそのまま武器にする方法 。例えば、中村さんがリニューアルを手掛けた 「北の大地の水族館」 は、真冬の厳しい寒さが集客上の大きなネックとなっていましたが、その寒さをあえて積極利用するという発想の転換で、冬に川面が全面結氷した水中を見られるという世界初の展示を創り上げたことで、それを見るためにわざわざ極寒の季節を選んで来館するお客さんが沢山現れ、集客へとつなげました。そして、もう1つの方法が、
中村さん
「弱点を ”進化圧” にして進化する方法です!」
同じく中村さんが展示リニューアルを手掛けた サンシャイン水族館 では、来館者を増やすために屋上エリアにも多くの人を呼び込む必要がありました。しかし、屋上は夏は暑く冬は寒い、(法律による規制で)屋根もつけることができない為、日射しも雨風も凌げないことが大きな課題となっていました。しかし弱点・欠点があるから 「駄目だ」「無理だ」 と嘆くのではなく、むしろそれを「進化できるチャンス」と捉えるのが ”中村元” 式。中村さんは次のように考えました。
中村さん
「屋根が作れないなら(屋根代わりにもなる)水槽を作ればカッコええやん!」
そして誕生したのが ”天空のオアシス” 。人々の頭の上を泳ぐ 「天空のアシカ(アクアリング)」や、ペンギンがまるでビル群の上空を飛び交うかのように泳ぐ「天空のペンギン」… 等々。リニューアル前(サンシャイン国際水族館時代)はガラガラで閑散としていた屋上エリアが、今では連日多くのお客さんで賑わっています。まさに弱点を ”進化圧” に進化を遂げた好例と言えるでしょう。
生き物の 「進化」 についても同じです。
中村さん
「キリンは最初はシマウマとか他の草食動物に葉っぱを食われちゃって負けていたんやと思う。でも首のちょっと長いヤツだけはなんとか高いところに残った葉を食べることができた。そうやって生き延びたヤツが(子孫を残し)ドンドン上の方の葉を食べていったら首がとても長い今のキリンの姿になりました。それが ”進化” なんです。弱点のない動物は進化なんかしません。 むしろ進化したらアカン! ライオンが百獣の王になったからと言って、さらに木に登ろうと頑張ったところで(あの大きな体では)落ちて死ぬだけやん!」
進化圧がかからなければ進化は起こらない。私たちは優秀な者が進化するのだと思いがちですが、むしろ真逆で 「弱点があるからこそ進化できるのだ」 と説く中村さん。そして、今回のテーマである ”へんないきもの” 達は
中村さん
「それぞれの生息環境で ”強み” を持った結果、 ”へんないきもの” になったんです。”へんないきもの” になれずに絶滅した生き物はいっぱいいると思うよ!」
テリーP
「なるほど。”へんないきもの” って、実は強い生き物なんですね!」
中村さん
「そう! 相当に強い!」