2019春(vol.32)〜へんなヤツこそ生き延びる!〜
後半の部より
ベント後半はゲストトーク。大ベストセラー『へんないきものシリーズ』 の著者・早川いくをさんが登壇! 中村さんと ”へんないきものトーク” を繰り広げます。
■ 早川いくを
著作家。1965年東京都生まれ。多摩美術大学卒業。広告制作会社、出版社勤務を経て独立、文筆とデザインを手がけるようになる。『へんないきもの』(新潮文庫)、『またまたへんないきもの』(幻冬舎文庫)、『カッコいいほとけ』(幻冬舎)、『うんこがへんないきもの』(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)、『へんな生きもの へんな生きざま』(エクスナレッジ)、『へんないきものもよう』(ベストセラーズ) など著書多数。
早川さんは 10年前に行われた「へんナイト2」で当時お台場にあったカルカルに初登場。2012年に行われた『深海魚大好きフェスティバル』 などにも出演し、「へんないきもの」、「キモイ生き物」 をテーマにグロテスクな深海生物や寄生虫等を色々紹介してくれました。さて、今回は…!?
ちなみに、サンシャイン水族館では早川さんとのコラボ企画展 「へんないきもの展3」(2019年3月20~2019年07月5日) が開催予定。「へんないきもの展」 は第1弾(2014年)、第2弾(2015年)で 約20万人を動員した超人気企画で、2018年10月(~2019年1月)には広島の マリホ水族館 でも開催。それを記念して同水族館のラグーン水槽前にて『早川いくを×中村元のへんないきものトーク』 も行われました。中村さんと早川さんはそこで初対面&初セッション。すぐに意気投合して今回の超水族館ナイトへのゲスト出演の運びとなったそうです。
5.ベストセラー × ベストセラー(その1)
物販コーナーの写真でチラリと紹介しましたが、実は早川さん、大ベストセラー『怖い絵』の著者・中野京子先生 との奇跡のコラボレーションが実現し、2018年12月に 『怖いへんないきものの絵(幻冬舎)』 を世に送り出しています。名画に登場する ”へんないきもの” にフォーカスし、その謎に迫っていく2大ベストセラー作家による最高に面白い一冊です。
中野京子先生とのコラボが実現した経緯については、
早川さん
「以前、世界中の沢山の名画の複製画が展示されている事で有名な徳島の大塚国際美術館へ行ったのですが、そこで凄く変なサメの絵を見たんです。人がサメに襲われている絵なのですが、まずサメがデカ過ぎるし相当に変なんです。絵のタイトルは 『ワトソンと鮫』 とありました。でも他に何の説明もありません。ワトソンって誰だよ!?と(苦笑)」
以来、早川さんは、しばしばその絵のことを思い出しては 「あれは何だったのだろう?」 と考えるようになったそうです。そして、早川さんは中野京子先生の 「怖い絵」 の愛読者だったこともあり、
早川さん
「 ”へんないきもの” が登場する絵は探せばきっと他にもある。それらについて 中野京子先生にお聞きする企画はどうだろう?…なんて出版社の担当者の方に冗談で話したんです。そうしたら本当に連絡取りやがって、なんてことするんだ、 冗談に決まってるじゃん!って(汗)」
客席:(笑)
テリーP
「でも、ご快諾頂いたんですよね!?」
早川
「そうなんです。実は中野京子先生も 『へんないきもの』 を読んでくださっていて、お互いに愛読し合っていたんです。それで、じゃあ一緒にやりましょうということになりました。」
中野京子先生によれば、早川さんを惑わせた 「ワトソンと鮫」 は現実にあったサメ襲撃事件を絵画化したものなのだそうです。「サメに襲われている男は誰なのか?」「そもそもなぜサメに襲われているのか?」等々、それ以上詳しいことについては、『怖いへんないきものの絵』の中で詳しく解説されていますので、是非、本を買って読んでみてください。
6.ベストセラー × ベストセラー(その2)
超水族館ナイトに参加している皆さんにとってのベストセラーと言えば、『中村元の全国水族館ガイド』 でしょう。 テリーPが「出る出る詐欺だ」と指摘するほどに発売が延びに延びていた 改訂版 『中村元の全国水族館ガイド 125』 ですが、6月についに発売となるようです。 その改訂版の執筆にあたって最新の情報を収集すべく中村さんはここ数年、全国各地を飛び回って水族館で写真を撮りまくっていました。その中には早川さんの ”へんないきもの” シリーズにも登場する生き物も多数含まれている様子。…ということで、ここから先は中村さんと早川さんがコラボレーション! 「へんないきもの」シリーズはイラストレーターの寺西晃さんの絵で生き物が紹介されていますが、本イベントでは中村さんの撮った写真を以って ”へんないきもの” を紹介し、その生き物についてトークを重ねていきました。
オオグチボヤ
「へんないきもの」 の表紙にもなった深海生物。
モンハナシャコ
早川さん
「パンチを繰り出すことで有名なシャコなんですが、そのパンチが無駄に強くて、ダイバーがうっかり手を出して指を怪我したり、水槽に入れるとガラスをブチ割ってしまったり…。目がもの凄く高性能で人間では感知できない波長の光を判別しうる目を持っているそうです。但し、その膨大な色情報を処理できるだけの脳は持っていないので完全に ”宝の持ち腐れ” ですね。」
シノノメサカタザメ
「怖いへんないきものの絵」にも登場するシノノメサカタザメ。「~ザメ」という名前からサメの仲間だと思いがちですが、実はエイの一種です。
中村さん
「ねぇねぇ早川。シノノメサカタザメのシノノメって何?」
早川さん
「シノノメですか…。えーっとですね…、、、」
中村さん
「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
中村さんが突然、謎のチコちゃん化(笑)。シノノメとは漢字で「東雲」と書きますが、
中村さん
「夜が明けようとして東の空が明るくなってきた時にクルンとした雲が並んだ様を東雲模様と言うんや。それに似た模様が体にあるからシノノメサカタザメという和名になったんよ!」
やたらシノノメサカタザメに詳しい中村さんですが、聞けば鳥羽水族館で飼育係をしていた頃にシノノメサカタザメの餌付けを任されたことがあったとか。ちなみに中野京子先生はエイが大嫌いだそうで、
早川さん
「ご本人は子供の頃に水族館でエイに食われそうになったと強固に主張しています(苦笑)。兎に角、もの凄いトラウマになっているみたいですよ。」
そう言えば中村さんも 「子供の頃に水族館で一反木綿のような妖怪を見て、それがもの凄く印象に残っていた」 という話をよくしてくれます。(もちろん一反木綿の正体はエイ)