2023夏(vol.44)〜日本の動物園水族館に未来はあるんか?~
水族館界にも暗い影を落としたコロナ禍がようやく明けて、未来に向けて再び歩みを進める時がやってきました。そんなタイミングでの開催となった『中村元の超水族館ナイト2023・夏』では、少しドキッとさせられるテーマが設定されました。
”日本の動物園・水族館に未来はあるんか?”
中村元
「まぁ、『そこに愛はあるんか?』的な?(笑) 僕は日本の水族館の未来はもうできつつあると思っているのね。」
もちろん、水族館業界全体を見渡せば、まだまだ課題はあるとは思いますが、中村さんが水族館プロデューサーとして独立した当初からモットーに掲げている ”水族館を日本の大衆文化の拠点にする” という理想の未来にしっかりとベクトルが向いていることは確かです。
一方、日本の動物園はどうか…?
「僕は現状の動物園の展示ではちょっと無理かもって思っているんやけど…。」
中村さんと同様に日本の動物園の未来を憂えて、警鐘を鳴らしている人がいます。本田公夫さん、アメリカの動物園や水族館で長年にわたり先進的な展示デザインの仕事をされてきた方です。ここ最近、日本の動物園や水族館のスタッフの間でバイブル的に読まれている書籍「動物園から未来を変えるニューヨーク・ブロンクス動物園の展示デザイン(亜紀書房/川端裕人・本田公夫【著】)」の共同著者であり主人公でもあります。
中村
「本田さんは米国在住で、動物園界ではこのところ非常に注目されている凄い人なんやけど、縁あって知り合ってな、展示に対する考え方や目指してる方向性が一緒で意気投合したんや! 」
…というわけで第二部のゲストは本田公夫さん! 本田さんによれば欧米の動物園は既に価値を見いだして未来を創っているとのこと。さて、日本の動物園は今、何をするべきなのか? いつもの超水族館トークを動物園にまで拡げて、改めて ”命の展示すること” の意味を考え、その存在意義を深掘りしていく回となりました。
超水族館ナイトから日本の水族館界&動物園界に新たな波を起こし新時代の幕開けを!
通算44回目! それではレポートしていきます。
なんと本田公夫さんのイラストとは知らずに使用していたとのこと。「ちょうど切らしていたので買えてよかった!」と中村さん。
オープニングトーク
開演時刻となり、おなじみの超水族館コンビが登場!
テリー
「いやぁ中村さん、超満員ですよ! しかも、今回はチケットの売れるのが早かったですねぇ~!」
中村
「早かったです!」
コロナ禍前は度々チケット争奪戦が繰り広げられていた超水族館ナイトではありますが、久しぶりのチケット即完売でした。
中村
「今日は水族館ファンだけでなく動物園ファンもいっぱい来てくれてるということやろね。」
テリー
「それとマツコ・デラックス効果じゃないですか!?」
中村
「ああ、それもある!(笑)」
中村さんは本公演のチケット発売前夜に放送された人気トークバラエティ番組『マツコの知らない世界(TBS)』に6年ぶりに出演! 進化を遂げ続ける日本各地の水族館について、クラゲ展示や水族館化された動物園、さらにはマイナーな水族館まで魅力をそれぞれ熱弁し、大きな反響を呼んでいました。実際、番組視聴をキッカケに超水族館ナイトのことを知って、この日初めて参加したというお客さんも。
本題に入る前に、中村さんが『マツコの知らない世界』の裏話をいくつか明かしてくれたのでご紹介。まずロケのスケジュールが非常にタイトだったそうです。北の大地の水族館(北海道北見市)、 円山動物園(北海道札幌市)、伊勢シーパラダイス(三重県伊勢市)の3か所でロケが行われましたが、
中村
「あれ、たったの3日間で撮ってるからね! 北海道の東の端から西の端まで移動して2日間、そのまま中部国際空港に飛んで伊勢シーパラダイスへ向かって計3日間や! しかも、東京に戻ってからも僕は映像には登場していないけれど、サンシャイン水族館の撮影に同行して、カメラマンに「海月空感」の映える撮り方をアドバイスしていました。めっちゃ大変だったんよ!」
その後、スタジオトークの収録が行われたわけですが、
中村
「マツコさんとのトークがあまりにも盛り上がりすぎてカットになったシーンがいっぱいあったんです!」
実はマツコさんはかなりの水族館好きで、水族館まつわる事情も精通しているとのこと。
中村
「例えば、近年クラゲが人気で展示を行う水族館が増えているんだという話をしました。でも、そのクラゲにカラフルな照明を当てて色を付けている水族館が多いんです。水族館は ”命の本当の姿”を見せるところだから、あれは好ましくない。カラーひよこを売っているのと一緒や!…と言ったんです。」
客席:(拍手)
中村元
「あっ、客席から拍手でたね。 みんなもそう思うよね? マツコさんも同意してくれたんやけど『そうよね、〇〇〇(水族館名)とか!』って、該当する水族館の名前をカメラの前で言っちゃうわけよ!」
テリー
「なるほど。ちゃんと知っているんですね。」
中村
「でも、それをズバリ言ってしまったら放送で使えなくなるやん!(苦笑)」
この他にも、近年、都市部の水族館で頻繁に行われている展示水槽への過度なプロジェクションマッピングについて中村さんが苦言を呈すると、
中村
「マツコさんがまた『●●●●(水族館名)はそうよね』って。だから言うたらアカンって!(苦笑) しかも、まだオープンしていない水族館の名前を挙げたからね。」
客席にいた某水族館マニア
「●●●●(水族館名)!」
中村
「だから水族館名出したらアカンって!」
客席:(笑)
テリー
「ここにはテレビカメラはないのでドンドン言っちゃいましょう。」
テレビカメラはなくとも、このイベントレポートというもののがあるのですが…。
(ここでは一応伏字とさせていただきました)
<メモ>
本イベント『中村元の超水族館ナイト』はコロナ禍においては
会場観覧とリアルタイム配信を行っていましたが、
コロナ禍も明けたということで今回から
配信試聴(リアルタイム配信/アーカイブ)のチケットの取り扱いがなくなりました。
今後はリアル観覧(※)チケットのみの販売となります。ご承知おきください。
なお会場観覧のチケット購入者には公演後、映像アーカイブの試聴可能です。