2025秋(vol.49)~ぼくらはギリギリ生きている!〜
2025年2月、東京・渋谷の東京カルチャーカルチャー(以下カルカル)にて一足早い春の訪れ『中村元の超水族館ナイト2025・春』が開催されました。通算では第49回目!

ついに17年目に突入!

(水族館プロデューサー)

(カルカルイベントプロデューサー)
2008年10月に始まって以来、年3回(春・夏・秋)のペースで行われてきたこの人気イベントも、2025年・夏(6月14日)に予定されている第50回開催を以って終了となります。これまで水族館界隈だけでなく各界から個性豊かなゲストが多数登壇してきましたが、最終の第50回はゲストなしでの中村さんのトークが予定されているため、ゲストを招いての超水族館ナイトはこの日が最後でした。ゲストの大トリを飾ったのは女優の松島トモ子さん! 中村さんとは旧知の仲で、ライオンとヒョウに襲われて生死の境を彷徨いながらも奇跡的に後遺症もなく生還したという世界で唯一人といえる稀有な経験の持ち主です。(※ちなみに松島トモ子さんの公式ブログのタイトルは『ライオンの餌』!)
中村:
「トモ子さんには第20回記念(2015・春)の時にもゲストで来てもらったのよね。」
テリー:
「前回ご出演いただいた時はこのお店もまだお台場でしたね。」
(※カルカルは2016年にお台場から渋谷に移転)
テリー:
「その時にも来てくれた方ってどれぐらいいます?」
~~~ 満員の客席から約20名の手が上がる ~~~
中村:
「うわっ! そんなにおるの!? ええっ~~!? あれから10才歳を食ったということやで!」
客席:(苦笑)
テリー:
「僕はその10年前の時にトモ子さんから真顔で言われたんですよ、『あなたバカなの?』って。」
テリーさんは超水族館ナイトにおいて ”永遠の水族館素人” の立場から中村さんと絶妙なトークを繰り広げていますが、水族館素人ゆえに時に的外れなことを言ってしまうことがあるそうで、そこにトモ子さんがズバッと斬り込んだのでした。
テリー:
「あれ、トラウマになっているんですよ…。(苦笑)」
中村:
「今日もその言葉が飛び出すのを楽しみにしとるんやけどね! 君が ”黒” トモ子さん召喚の魔法陣の生贄になってくれることを期待しとるよ!(ニヤリ)」
テリー:
「ええ…。(汗)」
もっとも10年前は中村さんもトモ子さんの暴走トークに圧倒されて終始タジタジでした。

松島トモ子さんご出演の様子。
止まらない毒舌暴走トークに
中村さんもこの表情でした(笑)
さて、今回のトークテーマは ”ぼくらはギリギリ生きている!” でした。
テリー:
「なぜこのタイトルにしたんですか?」
中村:
「松島トモ子さん言うたらコレしかないやろ!」
客席:(爆笑)
テリー:
「確かにそうですね。(笑)」
中村:
「今日来てくれたお客さんの中にもね、きっとギリギリ生きている人が沢山おるんやろうし、みんなで頑張ろうぜ!ってね。あと、この地球上の生き物たちもギリギリ生きとるんやでって!」
テリー:
「なるほど、超水族館ナイトらしい ”生き残りテーマ” ですね。そして今回が49回目、次回50回目でファイナルということで…。」
中村:
「そうなのよ!」
客席
「え~~~~っ!!!!」
テリー:
「ほら、お客さんのこの反応!どうします!?」
中村:
「いや、ちょっと言うてみただけやろ? 『やっぱり続けます!』って言うたらさ、それはそれで『え~~っ!!』ってなるんよ!(笑)」
客席:(苦笑)
中村元ファン、超水族館ナイトファンの皆様、ご安心ください! 年3回の ”定期公演” は第50回で終了となりますが、中村さんは不定期開催という形で今後も『超水族館ナイト』を続ける気満々です。なので、先のことはいったん忘れて、まずは今回そして次回・千秋楽まで超水族館ナイトを楽しみ尽くしましょう!
…ということで、ライオンの餌…もとい、松島トモ子さんを迎えて超ギリギリトークで ”生きる力” を大発信! 空前の盛り上がりとなった一夜をレポートしていきます。

■ イベント限定メニュー
超水族館ナイトでは、毎回テーマに合わせてレシピを変えたイベント限定ドリンク『超水族館カクテル』が提供されています。今回はコチラ!

ラムネサー/カクテルゼリー
レモネードゼリー/ストロベリーソース

この日、東京は晴れていたものの、ニュースでは全国各地での災害級の大雪が伝えられていました。超水族館ナイトは遠方からの参加者も多く、大雪の影響による交通事情で残念ながら来場できなかった人もいたと聞いています。最終回こそは超水族館ナイトファミリー全員で乾杯しましょう!
第一部より
前半は中村さんと司会進行役のテリーさんによるテーマトークです。
(松島トモ子さんは後半・第二部に登場です)

超水族館ナイトもあと2回!
中村:
「オレさ、この前、久々に鳥羽水族館に行ってきたんよ!」
ご存じの方も多いと思いますが、中村さんは大学を卒業後、鳥羽水族館に入社しています。経済学部経営学科出身ということで経営幹部候補としての入社でしたが、中村さんは将来のためにも先ずは飼育の現場を知っておく必要があると考え、最初の3年間は飼育スタッフを経験したいと志願し、アシカトレーナーからキャリアをスタートさせています。その後、当時の水族館・動物園業界では国内初の試みとなる展示開発を専門に行う部署(企画室)を立ち上げて同室長に。鳥羽水族館の建て替えリニューアルという一大プロジェクトを成功に導き、副館長を務めていました(2002年に水族館プロデューサーとして独立)。松島トモ子さんとは中村さんがアシカトレーナーをしていた1980年代前半からの仲だそうです。
鳥羽水族館といえば来館38年目のジュゴンのセレナが大人気!
中村:
「僕が鳥羽水族館にいた頃には、ジュンイチくんとそのお嫁さんのジュンコさんという2頭のジュゴンがいたんやけど、ジュンコさんが亡くなってしまってね、ジュンイチくんがメッチャ寂しがっていたんです。そこで後添えとしてセレナちゃんを迎えたんやけど、セレナちゃんはまだ幼かった(※入館当時1歳)こともあってジュンイチくんの猛烈なアタックに耐えられなくてね、仕方なく別々の水槽で飼育していました。そうしたら今度は二頭とも寂しがっているわけよ(苦笑)。食欲も落ちて瘦せてしまうので、飼育スタッフが一緒に泳いであげたりしていました。そうすると、とても楽しそうにジャレたりして元気になるんです。」
そんな事情から当時の鳥羽水族館では一般からもダイバーを募ってジュゴンと ”お散歩ダイビング” をしてもらっていたそうです。
中村:
「そのお散歩ダイビングにトモ子さんがテレビクルーを連れて来てくれました。そして、セレナと泳ぎ終えたトモ子さんに『ついでにジュンイチとも泳いでみますか? ジュンイチは今、メスが欲しくて寂しがっているので、ちょっと襲われるかもしれませんけれど…』と言って、ジュンイチの水槽にも入ってもらいました。そうしたら案の定、襲われてな!(ニヤリ)」
客席:(笑)
テリー:
「また悪い顔をしてる(笑)。それを狙って仕掛けたんですよね?」
中村:
「うん。まぁ、仕掛けたんやけどな!(笑)」
当初の企画ではトモ子さんがセレナと一緒に泳ぐ微笑ましいシーンを撮って放送する予定でしたが、実際の放送ではトモ子さんがジュンイチに求愛される(襲われる)シーンばかりに。
中村:
「『松島トモ子、ライオンの次はジュゴンに襲われる!』って新聞のテレビ番組欄に載っていました(笑)」
客席:(笑)
中村:
「…で、このあいだ鳥羽水族館に行った時に、そういえばあの時の写真があったな! と思い出して、帰ってすぐ昔の写真を探し出してSNSに載せました。」

(中村さんのFacebookより転載)
トモ子さん襲われてます!(笑)
テリー:
「さきほども触れましたが、前回トモ子さんにご出演いただいてからもう10年なんですね。」
中村:
「うん。10年もの年月が経つとさ、その間に色々な起こるよね。例えば、人が亡くなったりもするじゃないですか。我々は生まれた時点で何時か必ず死ぬということが決まっているからね。」
当然、動物園や水族館で飼育されている生き物たちも時間の経過と共に死んでいきます。そして、その死が伝えられると沢山の人が「可哀想に」と言って悲しみに暮れ、献花台が設置されると、お花や手紙、プレゼントなどを持って多くの来園者・来館者が手を合わせに訪れます。(人間の立場からは)それは一つの優しい世界なのかもしれませんが、
中村:
「でもね、(動物たちの立場で考えたら)それってちょっとおかしな話なんです。僕はね、彼らは人間に捕まって動物園・水族館に連れて来られた時点で ”死んだも同然” だと思っているんです。」
大自然というどこまでも厳しく自由な世界で必死に生きているのが野生生物の本来の姿であり、狭い檻や水槽といった彼らにとっては刑務所や養老院のような空間に閉じ込められて、そこで長生きしたところで果たして幸せと言えるのだろうか…。
中村:
「水族館プロデューサーという立場の僕がこんなことを言うのは非常に心苦しいんやけど、そんな場所でただ生かされていることの方が、彼らにとっては死ぬことよりもずっと可哀想なことなのかもしれない。だから僕はいつも水族館のスタッフに『命を展示する覚悟はあるのか!?』と問い続けているんやけどね。ジュゴンだってそうよ。セレナのように色白でツルツル肌のジュゴンなんて野生にはおらんへん。サメに齧られたりして皮膚がボロッボロなんです。 野生生物はそうやってみんなギリギリ生きているんです。」