2022夏(vol.42) 〜水族館プロデューサーってなんや?〜
地涌研究発表もいよいよクライマックス。
次の2つは筆頭門下生・小林龍二館長が思い悩んでいた時に中村さんにかけてもらったという言葉。
⑪ オマエがなってトドメを刺せ!
⑫ 折れた花には誰もが背を向ける
折れそうでもふんばっていれば
いろいろな人や運命が手を述べてくれる
小林館長
「僕が副館長に(ゆくゆくは館長に)なろうか迷っている頃、地元の色々な人に相談をしたんですが、『あんなショボイ水族館でやっていけるのか。館長になったら責任取らなきゃいけない。やめておけ』とネガティブなことをすごく言われたんです。そん中、中村さんに相談したら『あんな水族館、終わっているからダラダラと続いても無駄だから、お前が館長になってトドメを刺せばいい』と言われたんです。その言葉の裏には『頑張れ』というエールが込められていて僕も吹っ切れて『やってやろう!』と思いました。」
ちなみに中村さんはこの言葉を小林館長の結構式の主賓あいさつでしたとか。なんという強烈な公開エール。
小林館長
「中村さんの後に乾杯の挨拶をした当時の館長がずっと下を向いて落ち込んでいたというエピソードも添えておきます(笑)」
副館長から館長となって、実際に竹島水族館を運営できるようになったものの「古い、汚い、金はなし」の地方の小さな一水族館。
小林館長
「大変なことがいっぱいあって、何度も中村さんに会いに行って相談に乗ってもらっていました。その時に、折れた花は~ の言葉を頂きました。僕は中村さんに大事にされているなぁと感じて嬉しかったし、だからこそ ”あんな水族” なりにドンドン良くしていかなきゃと思いました。」

中村
「オレが鳥羽をやめた時にほぼ折れかけていたからね。それで折れたら本当に終わりやというのを経験していたからね。」
人は苦しい時に、折れたくなるし逃げたくなるもの。でも、そこで踏ん張っていると、必ず人が現れたり、ヒントが下りてくるのだという。小林館長は著書である「驚愕!竹島水族館ドタバタ復活記」のまえがきにも中村さんの言葉を載せています。
⑬弱点を強みに変える
長所より弱点を活かす。弱点を武器にする逆転の発想法で唯一無二の価値を作り出す。世間ではよく「弱点は克服しなさい」、「強みを活かしなさい」と言われますが、
中村
「例えば、その人に ”足が速い” という長所があったとして、市の大会で1番でした。でも県大会に行ったらどうですか?オリンピックでメダル取れますか?本当に天才ならそれでもええよ。上には上がいる。長所で戦う、長所を伸ばすというのは全く意味がないんです。サンシャイン水族館をプロデュースした時に弱点だらけでした。でも『これは面白い!』と思ったのね。自分自身が弱点を強みに変えて生きてきたから。それを水族館でも使おうと思いました。」
竹島水族館には何も勝てるものがない。そう落ち込んでいた小林館長にはまさに目から鱗の金言だったそうです。
小林館長
「(同じ県内の)名古屋港水族館と比べるから弱点だらけに見えていただけで、名古屋港水族館にできないことが、実はウチにはあるんじゃないかと考えるようになりました。」
中村
「名古屋港水族館にスタッフの手書きの解説板がいっぱいあったらバランス悪いけど、でも竹島水族館だからピッタリなんです。小さな水族館だからちゃんと読んでもらえる。そこに気づけるかどうかです。」
この考え方はビジネスはもちろん、人生そのものにもヒントになりそうです。
以上が中村さんの名言集。門下生のみなさんによる自由研究の考察がコチラです!
右側の写真はチビッ子園館長会議における ”生ける伝説 ・太刀魚レシート”。中村さんの門下生に対する愛と期待の結晶です。(太っ腹!)
あれ?ところで ”迷” 言の方はどうなったの?
すみません。コロナ禍より前は、このようなイベントレポートは会場である東京カルチャーカルチャーの公式ホームページに掲載していたのですが、都合により休載となっている関係で、現在はこちらの中村元事務所のサイト内に掲載させていただいています。カルカルのホームページであれば ”迷” 言も全部載せてしまうのですが、ここは中村さんのオフィシャルな場所なので自重させていただきます。
…といいつつ、1つだけチラ見せ(笑)

■ 花束贈呈
自由研究の発表が終わったところで、中村さんに門下生一同より花束が贈られました。


中村
「みなさん、今日はこんな時期なのに集まって頂きありがとうございます。水族館のスタッフは特別にコロナの感染予防に気を遣わなければいけない中、集まってくれたチビッ子園館長たちもありがとうごじます。これからもうしばらくは頑張っていきたいと思っていますので、チビッ子ともども私のことをよろしくお願いします。」
客席:(大拍手)

水族館プロデューサーとして20周年を迎えた中村さん。後進も着々と育っていますが、まだまだ水族館界に ”中村元” は必要です。さらなる活躍を期待しています。もちろん門下生の皆さんも!
(文&写真:須釜浩介)