2019夏(vol.33)~水族館ガイドで動物園が暴れる日~
4.極上の水塊展示! 円山動物園
今回の改訂で中村さんの水族館ガイドに飛び込んできた 札幌市円山動物園 。初掲載ながら ホッキョクグマ舎 には中村さんが「動物園ナンバーワンの水塊展示」のお墨付きを与えるなど、旭山動物園と共に水族館ガイドの中で大暴れしています。百聞は一見に如かず。中村さんが撮った写真のスライドでその極上の水塊を感じてみましょう。
中村さん
「浮遊感抜群やん! ? 巨体が水の中でフワフワ浮いている感じが凄く良いなと思うんです。この子はお茶目で寄ってくるし、手も出してくるんよ! こんなふうに( ↓ )」
さらに、2019年、新たに ゾウ舎 が完成。なんと、アジアゾウがプールに入って泳ぐ迫力のシーンを観ることができるらしい。
第二部のゲスト・本田直也さん は 「爬虫類・両生類」の担当。実は2011年に誕生した 「爬虫類・両生類館」 は、円山動物園の本格的な水族館化の始まりでもありました。美しく植栽された水槽展示などは 「従来の動物園展示イメージを覆すものだった」と中村さん。
そうそう。水棲生物ではありませんが、中村さんが「後半の予習に覚えておいて!」と言った写真がコチラ( ↓ )。
5.水族館ガイドに登場する動物園いろいろ
旭山動物園、円山動物園以外にも中村さんが水族館認定した動物園が水族館ガイドに掲載されています。その中から井の頭自然文化園とアドベンチャーワールドの紹介がありました。
井の頭自然文化園・水生物館 は小規模ながら都会の川・池の癒しの風景を再現した落ち着いた雰囲気の水槽が並びます。魚類だけでなく両生類や水生昆虫、水生植物など淡水の生き物が幅広く展示されていて、中でも中村さんが「究極の行動展示」とイチオシなのが カイツブリ 。
中村さん
「コイツが餌の魚を捕りに潜るんやけど、泳ぎ方がおもしろい! 空気を入れてピョンピョン跳ねるカエルのオモチャあるやん? あんな感じに足を動かして泳ぎます。」
昔は見向きもされていなかったそうですが、最近は水槽の前でカイツブリの潜水を待ち構えているカイツブリファンも増えているそうです。
そして、もう1園紹介されたのが、和歌山の アドベンチャーワールド! 今回の水族館ガイドでは 「海獣パフォーマンス」部門・第1位 にも輝いています。
水族館同士だけで競争をしていると、他所の人気展示の真似事ばかりになってしまったり、逆に差別化しようとするあまり展示とは関係ないところで変に頑張ってしまいがち。
テリーP
「例えばアレでしょ? プロジェクションマッピング! 中村さんや今日ここにいるお客さん達が大嫌いなヤツですよね?」
中村さん
「プロジェクションマッピングなぁ…、水槽を見せてくれと言いたい! そうでないと水槽を見に来てくれている一番大事なお客さんが水族館から離れて行ってしまう。そんな現状に、動物園がドンドン変わって水族館の良いライバルとなり、それこそ戦国時代みたいになったら水族館の展示も良い方向に変わっていくと思うワケです。」
展示はいかにあるべきか? その答えを実際の展示で示してきたのが水族館プロデューサーの中村さんですが…、
中村さん
「そう! こんなことやっているのは俺様一人で追随するやつなんぞおらん! …と思っていたら、なんと動物園で同じことを考えて既にやっとる人がおったんよ!」
いよいよ、後半、円山動物園の ”カリスマ飼育員” ・本田直也さんの登場です。
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