水族館プロデューサー 中村 元水族館プロデューサー 中村 元

イベントレポート

2019夏(vol.33)~水族館ガイドで動物園が暴れる日~

10.円山動物園、大改革中!

円山動物園の取り組みも紹介してくれました。

本田さんの専門である爬虫類・両生類の飼育環境について。床材の交換をすることなく、自然界と同じサイクルが機能している。

中村さん
「さっき(前半の部に)見せたオランウータン。覚えてる?緑でいっぱいやったやん? あんなオランウータン舎、他に見たことある?」

日本の動物園のオラウータン舎と言えば、どうしてもコンクリートの施設に申し訳程度にタイヤと登り木とロープが取り付けてあるイメージです。

本田さん
「夏場にサーモグラフで測ったらオランウータンがいる日陰の場所以外は、一番熱いところで表面温度が70度近くあった。見た目は広い展示場でもオランウータンは全く身動きできない劣悪区な環境でした。」

そこで緑化を推進。

上が緑化前、下が緑化後。
一部の鉄柱を除いて20度以下に。

かくして円山のオランウータンの飼育環境は大幅に改善。めでtし、めでたし…とはならず、屋内展示はまだこのような状況( ↓ )。

オランウータン舎の屋内部分

ここも飼育する側の都合で設計された ”公開型畜舎”。温風暖房でオランウータンへの負担も大きい。

本田さん
「この前で彼らの生息地であるボルネオの環境破壊の話をしても何も伝えられないですよね…。」

中村さん
「まぁ、それ以前に目の前の環境が破壊されてとるからな…」

本田さん
「だからしっかりした環境を作っていかないとダメだと思っています!」

中村さん
「頑張ってや!俺の相談にも乗って!(笑)」

第二部、ゲストトーク終了。本田さんに大きな拍手が送られた。内容が濃すぎてあっという間の70分でした。

まとめ

日本と海外の動物園の圧倒的な差を見せつけられ愕然としましたが、日本の動物園も少しでも環境を良くしようと皆、頑張っています。ゴールの見えない長い道のりですが、展示の在り方や動物福祉について真剣に語る本田さんの話を聞いて安心すると同時に、本田さんだけでなく多くの動物園関係者が現状を改善しようと日々頑張っていることを知り、全力で応援したい気持ちになりました。


次回予告

次回は 2019年10月5日(土)に行われます。テーマは「命を展示するということ」。今回、本田さんが動物園の展示の在り方について語ってくれましたが、水族館についても、近年色々と騒がれているイルカの飼育のことも含め、「命を展示すること」の意義について、中村さんが深堀してくれるそうです。

そして、第二部のゲストには 「しものせき水族館 ・海響館」 の石橋敏章館長。石橋館長は日本鯨類研究協議会(JACRE)の 代表幹事をされている方で、「JACREのことが公の場で話しされるんはこの超水族館ナイトが最初では?」と中村さん。これは聞き逃せませんよ!


おまけ

超水族館ナイトでは毎回終演後に 公開打ち上げ(2次会) が行われています。多少の別料金はかかりますが軽食付きで飲み放題。豪華景品が当たるジャンケン大会も行われます。超水族館ナイトには水族館ファンはもちろん水族館や動物園の ”中の人” や、水族館への就職を目指す学生さんも多数来場していますので、交流の絶好の機会! お時間のある方は是非残ってご参加ください。

公開打ち上げで改めて乾杯
”2次会”にも多数参加
今回もお客さんのご厚意で
沢山のプレゼントが集まりました。
透明標本
(日本大学の学生さんが提供)
ソーメン二郎さん(テリーP)からは絵本作家・岡田よしたか先生とコラボで生まれた創作絵本「そうめんソータロー」のプレゼントがありました。
中村さんからは「全国水族館ガイド」の提供。でもそれ、もうみんな買って持ってますよ!?
…と見せかけて実は束見本!これは欲しい!各水族館でスタンプを集めて御朱印帳ならぬ魚朱印帳に!?
景品争奪
じゃんけん大会スタート!
お目当ての景品を狙って
大盛り上がりでした!

(文&写真:須釜浩介)

2019/06/08