2023秋(vol.45)~水族館と歩んだ激動の15年~
■ 水族館ナイトから ”超” 水族館ナイトへ
<Pick up!>
・vol.01(2008年10月)「水族館は日本の文化になる」
・vol.03(2009年06月)「やっぱり個性でしょ!」
・vol.04(2009年10月)「水族館に宿る魂」
実は第1~4回目までは『水族館ナイト』というイベント名でした(第5回目から『超水族館ナイト』に改称)。当初はもう1人MCがいてレギュラー3人(中村元、テリー植田、まんじまる)体制で始まっています。記念すべき第1回目のサブタイトルは「水族館は日本の文化になる」でした。中村さんがこの15年間、全くブレずにその信念を貫いて活動してきたことが分かります。
第3回目「やっぱり個性でしょ」のゲストは 鶴岡市立加茂水族館の 村上龍男 館長(当時)。加茂水族館といえば今や「世界一のクラゲの水族館」としてすっかり有名になりました。2014年に完成したクラゲドリーム館の「クラゲドリームシアター」は、直径5メートルの円型大水槽に約1万匹のミズクラゲが浮遊するというもの。その圧巻の展示を目当てに連日多くの来館者が訪れています。しかし、加茂水族館がクラゲの展示種類数で世界一になったのは2005年以降の話。
中村
「それ以前は本当に小さくてボロボロの水族館でしかなかったんです。お客さんも全然来なくて廃業寸前でした。」
村上館長は起死回生を狙ってラッコを導入しますが、ラッコブームは既に下火となっており目立った効果は現れず、逆に高価な餌代と嵩む光熱費が更に経営を圧迫する事態に…。そんな絶体絶命の状況で、村上館長が最後の望みを託したのは ”クラゲ” でした。お金も無かったことから先ずは目の前の海にいるクラゲを採集・展示することから着手。そしてクラゲを少しでもPRしようとクラゲグルメ(クラゲ定食・クラゲラーメン・クラゲアイスなど)を開発。館内で販売を始め、地元メディアを招いての試食会も実施されました。
中村
「これが新聞やネット記事に出て話題になってね、そうしたら大ヒットしたんよ!」
廃業寸前の加茂水族館はクラゲで奇跡のV字回復を達成!
昔はテレビが圧倒的な影響力持っていて、例えば、高視聴率を誇ったTBS系列の人気番組「わくわく動物ランド(1983~1992)」が珍しい動物を紹介すると、その動物をこの目で見ようと該当の動物園・水族館に視聴者が押し寄せました。鳥羽水族館時代に中村さんが仕掛けたラッコブームはその最たる例でしょう。
テリー
「僕もわくわく動物ランドを見てラッコに会いたくなって、親に頼み込んで鳥羽水族館に連れて行ってもらった思い出があります。他にもエリマキトカゲとかウーパールーパーとか大人気でした。」
それがインターネットの普及などによりメディアが多様化するに連れて変わっていった。
中村
「水族館の集客も ”動物ブーム” の頃とはだんだん違うものになっていきました。僕自身はお客さんの心理を考えて水塊というものを開発して集客をしたのだけれど、加茂水族館はクラゲアイスを作ったらお客さんが増えました…って、どんないやねん!」
客席:(笑)
中村
「でも、時代がドンドン変わってきているということが、この事例からも見えるワケです。村上館長をゲストに呼んだ理由はそこなんですよね。」
まさに時代の転換期に始まったのが、この(超)水族館ナイトです。
さて、水族館ナイトは毎回 ”満員御礼”となっていたものの、
中村
「このイベントがまさかこんなに長く続くとは思っていなかったので、もう第4回目にはビッグゲストとして荒俣宏さんを呼んでいます。でも、終わらなかった!」
第5回目からは現在の中村さんとテリーさんの2人体制となり、内容をより進化(深化)させた『超水族館ナイト』としてグレードアップ! 水族館の本質がより深く語られていくこととなります。
■ 常に時代を先取り!
<Pick up!>
・vol.06(2010年06月)「ペンギンから人生を学べ!」
・vol.09(2011年02月)「ペンギンから人生を学べ!2」
装いを新たに始まった『超水族館ナイト』では、早々にペンギン会議の 上田一生 先生 をゲストに呼んでいます。
中村
「覚えてる? この直後ぐらいから全国各地にペンギンの展示を ”売り” にした水族館が凄く増えてきたやん? 超水族館ナイトはちゃんと時代の先を読んどるんやで!(ドヤ顔) そして、何よりもかによりも第1回目から客席に全身ペンギン模様の服を召したご夫婦がいらっしゃった!」
客席:(笑)
超水族館ナイトのお客さん間では ”ペンギン夫婦” としてすっかり有名なお二人。その旦那さん(ぺん蔵さん)が、このあと第二部で ”超水族館ナイト常連客代表” として登壇していますのでお楽しみに!
■ チビッ子園館長が大活躍!
<Pick up!>
vol.07(2010年01月)「水族館・特ネタ大爆発!」
vol.09(2011年08月)「水族館・特ネタ大爆発!その2」
vol.18(2014年06月)「人生はアシカから学んだ」
vol.21(2015年06月)「水族館で未来をつくる」
チビッ子園館長 とは、中村元イズムに共感し慕い集まった全国各地の動物園・水族館のスタッフたちのこと、謂わば中村さんの門下生の皆さんです。第7回目、第9回目では『水族館、特ネタ大爆発!』と題して、門下生たちが第二部のゲストとして登壇。自らの水族館の展示や仕事内容を紹介をしたり、将来の夢や目標、そのための取り組みを語るなどしました。
ちなみに上の写真は、竹島水族館のショーにおいてアシカが言うことを聞いてくれなかった時に行われる” 飼育スタッフの謝罪ショー” をステージで実演している場面。客席は大爆笑でした。
ところで、中村さんは『超水族館ナイト』の終演後、毎回『チビッ子園館長会議』と題して門下生の皆さんを飲みに連れて行ってあげているそうです。
中村
「このイベントを始めた当初、僕の話を聞くために遠方から駆けつけてくれた熱心な水族館スタッフが2人いたんです。それぞれ北海道と愛知県から来てくれていました。なんと宿も取らずにお台場まで来たと言うのよ。なんでって聞いたら『そんな金ないですもん』だって。 漫画喫茶でカップラーメンを食べたりして朝まで過ごすつもりだったらしいのね。それならと思って僕が飲みに連れて行ってあげました。朝の5時まで! お腹もいっぱいになるし、もう漫画喫茶に泊まる必要もなくなるやん! …ということから始まって、それ以降、超水族館ナイトに来てくれた動物園・水族館スタッフであればオレが朝までメシを奢ってやると決めたのね!」
テリー
「さすが中村さん、優しい! 太っ腹! あっ、今気づいたんですけど、門下生の皆さんからお花が届いていたんですね。」
中村
「チビッ子園館長たちが超水族館ナイト15周年のお祝いとして贈ってくれました!ありがとうございます! いや、だけどオレが奢った分はこんなもんじゃないけどな!(笑) 最初は2人だったのが、すぐ6~7人になって、今では多いと20人以上来たりするからね。もうレシートが太刀魚みたいな長さになるんよ!」
客席:(笑)
中村
「でも、そうやって彼らと話をすることが僕は本当に楽しいんです。僕自身、若い頃に他所の水族館に行ったりすると、そこの館長が色々と教えてくれて、ご飯までご馳走してくれました。だから僕もチビッ子たちに色々と教えてあげながらメシを奢ってあげようと思ってね。」
テリー
「イイ話ですねぇ。そんなチビッ子園館長の中には出世した人もいるわけでしょ?」
中村
「おるおる!チビッ子園館長会議が今では本当の園館長会議になってきているからね!」
「特ネタ大爆発!」以降も門下生たちが第二部のゲストとして度々登壇していますが、その時は門下生としてではなく立派に成長した水族館人として中村さんと対談をしています。