2023秋(vol.45)~水族館と歩んだ激動の15年~
■ ようやく明るいニュースが!
2023年5月22日、新型コロナウィルスは季節性インフルエンザと同じ5類に移行。やっとウィズコロナからアフターコロナの時代へ。コロナ禍明けの最近のトピックに注目すると、
テリー
「僕は年表の下の方に書かれている『赤目四十八滝地域創造アドバイザー』というのがちょっと気になるんですけど…。」
中村
「三重県の赤目四十八滝、有名よね! 入山料を払ってすぐのとこに『日本サンショウオセンター』というサンショウウオしか展示していないんだけれど小さな水族館的な施設があって、ここをサンショウウオだけでなく他の両生類(カジカガエルなど)や渓谷の魚なども展示して ”水族館(※)” と呼べる施設にしようと。それと、僕はバリアフリー観光もやっているのでハイキングコースのバリアフリー化なども進めていく。」
※赤目四十八滝水族館は2024年04月20日オープンしました
■ 改めて水族館の本質を問う
コロナ禍が明けて水族館にお客さんが戻ってきたことは喜ばしいのですが、一方で少し首をかしげたくなるような ”あるべき水族館の姿” から外れた展示を行う水族館が目立ち始めているのが気になります。
テリー
「中村さんの嫌いな光がキラキラギラギラ系の水族館ですね?」
中村
「うん。なんか ”都市型水族館” なんて言われているんやけどさ、いわゆるアートアクアリウム系。」
水槽に色の付いた不自然な光りを過度に照明したり、プロジェクションマッピングを行ったりするもの。
中村
「僕は好きじゃないけれど、アートアクアリウムという演出や表現自体はあっても良いと思います。でも、アートアクアリウムを水族館と言ってしまったらアカン! 水族館は博物館やから ”本物” を見せるところなんです。 例えば、クラゲに色を付けている水族館って結構あるやん? 海の中で七色に光るクラゲなんておらへんのよ!」
テリー
「ですよねぇ…。」
中村
「あと、あれも嫌いや!ネイチャーアクアリウム!」
テリー
「おっ、怒りのスイッチが入ってきましたね!(笑)」
ネイチャーアクアリウムとは、魚の排泄物をバクテリアが分解し、それを栄養素に水草が育ち、その水草が光合成によって生成した酸素を魚が呼吸で取り入れるという自然界さながらの循環機能を水槽内に再現したもの。
中村
「見た目は緑の美しい水草水槽なんよ。でもその実態はただのガーデニングや! 東南アジアの水草、アフリカの水草、南米の水草…、全部ごちゃ混ぜに入れて剪定を行って美しい光景を作っている。魚もどこの地域の魚でもいいんです。そんな水中世界は地球のどこを探しても存在しない。全くネイチャーじゃないんです。もちろんネイチャーアクアリウムそのものを否定はしません。会社の応接室に置いたり、個人が趣味でやる分にはとても良いものだと思います。でも、水族館でこれをやったらアカンやろ! …とオレは思うわけです。」
そんな憂慮すべきことも見え隠れしている昨今の水族館界ですが、中村さんや門下生の皆さんがきっと日本の水族館を正しい道へと導いてくれることでしょう。もちろん超水族館ナイトに通う私たちも水族館の「正しいお客さんでありたい」と思うのでした。
第二部より
休憩を挟んで後半戦! 冒頭に記したように超水族館ナイトに長く通い続けているお客さんの中から代表して4名(2名×2組)の方に登壇してもらって中村さんとトークを行うという 45回目にして初の企画です。
■ 1組目:ぺん蔵さん & ねこさん
1番手はこちらのお二人!
ペンギン好きのぺん蔵さんは服もペンギン柄!
ねこさんは着物での登場ですが、なんと帯がラッコでした!
中村
「二人とも第1回目から参加してくれています。ぺん蔵さんはいつもご夫婦で来ていただいています。」
テリー
「いつもご夫婦でペンギン模様の服を着ていらっしゃいますよね。」
中村
「ペンギン夫婦として有名です。今日はぺん蔵さんにステージに上がって頂きました。そして、ねこさんは産婦人科の先生で日本全国ブラックジャックのごとく飛び回っているメチャ忙しい方なのに、ず~~~っと超水族館ナイトに来てくれています!」
ねこ
「一度、香港から駆けつけたこともありました。」
客席:(大拍手)
Q:超水族館ナイトに参加し続ける理由は?
ぺん蔵
「中村さんが常々おっしゃっている『水塊』というキーワードが、僕の中で腑に落ちるというか、グッとくるものがあったんですね。」
ぺん蔵さんは子どもの頃に父親の仕事の関係で熱海にホテル住まいをしていた時期があったそうです。当時の熱海には子どもが遊べるような場所が全くなかったとか。
ぺん蔵
「結局、何をして遊んでいたかというと海に行って 潮だまり を覗いていました。魚はいる、甲殻類はいる、頭足類もいる、ウニやイソギンチャクのような生き物もいる。見ていて飽きなかったですねぇ。」
中村
「分かる分かる!大人でもそこに生き物を発見したとたん夢中になるからね!」
ぺん蔵
「もう延々と見ていましたから。周囲の大人には『変わった子どもねぇ』なんて言われてましたけど(笑)。 僕にとっての潮だまりは凝縮された海の世界だったんですね。それが中村さんの水塊というものフッと合致したところがあったんです。」
中村
「なるほど!潮だまりも僕の作る水塊に入ってますよ!」
一方、ねこさんが超水族館ナイトに通い続けているのは、
ねこ
「もうガッツリ中村さんに 惚れ込んでいる からです!」
中村
「…!!!!」
客席:(大拍手)
ねこさんはネットでこのイベントを知ったそうですが、当初は中村さんのことは全く知らなかったそうです。
ねこ
「水族館プロデューサーって何?って思っていました。それこそ『どんなモンか見てやろうじゃねぇか』ぐらいの感じで第1回目に来たんです。いざ話を聞いてみたら『せっかく命を預かってるんだから』とか共感できることばかりで…。あと、中村さんが何度か話をしてくれた ”アシカのジャイアン” の話が大好きで!」
性格がそれぞれジャイアン、のび太、スネ夫、出木杉なアシカがいて、誰が一番長生きするかというお話(概要コチラで読めます)。
ねこ
「なんて面白い話をする人なんだ!と感激してしまって。 この人が理想とする水族館ができたらどんなに面白いんだろうと思うようになって、ずっと通ってます!」
中村
「ありがとう! 僕の理想通り水族館、この15年でいくつか出来てきたよ!」