2023秋(vol.45)~水族館と歩んだ激動の15年~
(中村さん × ぺん蔵さん × ねこさんのトークのつづきです)
Q:水族館にはよく行く?
ぺん蔵
「水族館は僕も家内も好きでよく行ってますね。子どもの頃にも父親に連れられて水族館に行ったことがありますが、もうかれこれ半世紀ぐらい前の話なので、その頃の水族館というと四角い水槽がただ並んでいるだけのところが多かったんですね。」
中村
「いわゆる汽車窓水槽と言われるヤツね、あれは僕も嫌いでした。」
ぺん蔵
「青ペンキに苔が生えたような汚い緑の背景に、申し訳程度に石や貝殻が何枚か入れてあって、魚がそこをウロウロしている。或いは、大きな魚が身動きできないぐらいの小さな水槽に入れられていたり…。そんな水槽には潮だまりで感じたような ”海” を全く感じなかったんです。」
時を経て、中村さんの演出した水塊水槽を見た時に、
ぺん蔵
「潮だまりの思い出と相まってとグッと心に来るものがあったんですね。中村さんの本(全国水族館ガイド)も読ませていただきました。小さい水族館には小さいなりの面白さがあるし、湿ったコンクリートのニオイが漂うようなノスタルジックな水族館もあれば、ガッチリと今の時代の流れに乗った水族館もあって、『案外、水族館って面白いな!』と、この超水族館ナイトに通うようになってから思うようになりました。」
ねこ
「私は九州出身なんですけど、子どもの頃はまだ九州に水族館自体があまりなかったんですね。天草のシードーナツ、大分マリーンパレスぐらい? 長崎水族館は修学旅行で行ったかな…? なので水族館に行った記憶があまりなかったんです。だから先程、ぺん蔵さんは『汽車窓水槽に海を感じない』と仰っていましたけど、私は水族館というもの自体が凄く新鮮だったので、初めて汽車窓水槽を見た時に凄く感激したのを覚えています。『これが水族館というものか!暗くてジメジメしてる!』って。」
客席:(笑)
ぺん蔵
「今の水族館とは全然違いましたよねぇ。あの頃の水族館はお化け屋敷みたいな雰囲気でしたから。」
…と、そんな始まりではあったものの、今では全国各地の水族館へ足蹴く通っているねこさんでした。
ねこ
「最近引っ越しをしたんですけれど、その時に色々な水族館の懐かしいお土産が出てきたので、この後の打ち上げのジャンケン大会の景品として持ってきました!」
中村
「ありがとう! みなさん、お宝やで!」
客席:(拍手)
Q:突っ込みすぎでは?(笑)
ぺん蔵さんもねこさんも本業以外のことに超”前のめり”で突っ込んでいくスタイル。ぺん蔵さんはペンギンに関する研究や創作を行っていて、研究成果が新聞に掲載されたり、その学会発表を行ったり、趣味のレベルを遥かに超えています。
中村
「いや、本当にマニアックで凄い方なんです!」
ぺん蔵
「いやいや、ただのペンギン好きです。自分の好きなことを夢中で調べていたら、たまたま新聞に載るようなことにぶつかっただけで…。」
そんなご謙遜を…。
ぺん蔵さんが自身の研究から一つトピックを紹介してくれました。
ぺん蔵
「ペンギンの研究している中で、2013年に日本で一番古いと思われるペンギンの剥製標本を発見したんですね。」
なんでも明治時代に日本で最初に南極を踏破した探検家で陸軍中尉の白瀬矗が南極から持ち帰り、明治天皇に献上したというもの。100年ほど行方不明になっていたそうで、それをなんとペンギン夫婦で発見したのだそうです。
テリー
「すごっ!マジで!?」
ぺん蔵
「2014年に学会発表と東大博物館での特別展示を行ったんですけど、その前段階としての東大博物館で検証作業を行ったんですね。検証の結果『これで間違いない!』と分かった時に、家内が喜びのあまりキャーと東大博物館のストレージでバカ踊りをしたんです。そうしたら超水族館ナイトの常連のお客さんでもある石田さんにその様子をガラス越しに見られていて…。次の超水族館ナイトの時に『この前、東大博物館の裏で踊ってましたよね』って声をかけられました(笑)」
客席:(笑)
突っ込みすぎといえばねこさんも負けてはいない。
中村
「第1部で世界一のキタイワトビペンギンの展示を作るためにフォークランドに行こうとしていたという話をしたやん? ねこさんはもうとっくにフォークランドに行っちゃってるのよ! 金も時間もメッチャかかるで! あれ、なんで行ったの?」
ねこ
「…行きたかったから!!」
客席:(大拍手)
中村
「辺境コーディネーターの斎藤美香子さんをゲストに呼んだ時に繋がったらしくて『一緒に行ってきました!』って言うのよ。ええええっ!?て。」
ねこ
「あれで人生変わりました!(笑)」
ねこ
「中村さんが作りたかった世界一のイワトビペンギンの展示ってきっとこんな風景なんだろうなって。」
中村
「そう通り!兎にも角にも僕が凄く嬉しいのは、超水族館ナイトに僕の話を聞きにくるというだけじゃなくて、こんなふうにゲストに呼んだ人と繋がってくれたりとか、近くの席の人と繋がって水族館好き同士の輪を広げてくれたりとかね。ここで知り合った人たちで一緒に水族館の旅行に行きましたとか、最近だと誘い合ってホエールウォッチングに行っている人もおるよね。…まぁ、ホーエルウォッチング優先で超水族館ナイトに来てくれなかったりするんやけど…。」
客席(笑)
中村
「でも!超水族館ナイトから始まる ”何か” があるのがええなぁ!と思ってます。」
ぺん蔵
「僕も超水族館ナイトで色々な方々とお知り合いになりまして、ほど良い距離感で心地良いお付き合いをさせてもらってます。中村雅俊の歌に『また会う約束などすることもなく』というフレーズがありましたけど、年3回ここに来れば自然と会えますから。 久しぶり、元気?って。水族館が好きな人たち、海の生き物が好な人たちとホンワカとした付き合いの輪みたいのが広がっていくのは、このイベントならではという気がしますね!」