水族館プロデューサー 中村 元水族館プロデューサー 中村 元

イベントレポート

2023秋(vol.45)~水族館と歩んだ激動の15年~

超水族館ナイトの会場である東京カルチャーカルチャーは2016年12月、お台場から現在の「渋谷cocotiビル」へと移転。…ということで、ここから先は ”渋谷で行われた超水族館ナイト” を振り返っていきます。

渋谷移転後の年表はコチラ( ↓ )を参照。

 

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■ 超水族館ナイトが日本の最先端カルチャーの中心地へ

<Pick up!>
・増館号(2016年12月)「超水族館ナイトは地球を救う!のか?」
・vol.26(2017年02月)「日本の世界観を誇れ!」

こちらも開催回数に含まれていませんが「増館号」と題した特別回が行われています。

中村
「オレが『お店の渋谷移転のお祝いするで!』と言って開催したのが、その ”増館号” というヤツです。この時は『お祝いやからギャラもいらんわ』と言ってやったんでゲストも呼んでいなくって、初の1人喋りでした。楽しく喋って飲んで食べたのを覚えています。」

なお定期開催での ”初” 渋谷 は、2017年2月(第26回)、ゲストは『ビハインド・ザ・コーヴ』の八木景子 監督でした。

 

◆ vol.26/2017年02月 ◆
超水族館ナイトとは別に日程で中村さん&八木監督のトーク付き特別上映会も実施されました。

 

■ 展示論~命へ展示する意味とは

<Pick up!>
・vol.28(2017年10月)「科学離れと水族館の理科教育」
・vol.29(2018年02月)「伝えるということ」
・vol.34(2019年10月)「命を展示するということ」

2017年以降は 展示論 が深く語られるようになっていきます。お客さんも回を重ねるごとに「水族館の在るべき姿」や「水族館の役割」を真剣に考えるようになっていったと感じます。「水族館のスタッフは飼育係ではなく展示係でなくてはならない」「命を展示する意味を理解し、命を展示する覚悟を持て」という中村さんの言葉が心に刺さります。

 

■ 待望のラッコ回!

<Pick up!>
・vol.30(2018年06月)「ラッコの道標」

日本に水族館文化が広がり、今日のような超水族館時代が到来したのもラッコの影響なしには考えられません。ラッコが日本の水族館の歴史を大きく変えたと言っても過言ではないでしょう。鳥羽水族館時代に日本にラッコブームを起こした中村さんですが、ラッコをテーマに据えてトークを行うのは第30回目にして ”初” でした。ラッコ好き大集合で大盛況に!

 

◆ vol.30/2018年06月 ◆
30回記念は初のラッコ回。ゲストは『銀色ラッコのなみだ:北の海の物語』でおなじみの童話作家・岡野薫子先生でした。

※岡野薫子先生は 2022年1月4日にご逝去されました。
 謹んでご冥福お祈りいたします。

 

■ コロナに負けない超水族館ナイト!

<Pick up!>
・vol.36(2020年06月)「マケルナ!こんな夏こそ水族館!」(オンライン/無観客)
・vol.37(2020年10月)「人はなぜ水族館に向かうのか」
・vol.38(2021年02月)「ヒレアシ語を話せる素質」
・vol.40(2021年10月)「過激に水族館展示論ライブひとり」
・vol.41(2022年04月)「スタッフもイキモノなんや!」

パンデミック、まさかこんな時代が来るとは…。2020年4月7日、新型コロナウィルスの感染拡大により1回目の緊急事態宣言が発令され、日本中の全水族館が一時休館に追い込まれる事態が発生しました。中村さんはコロナ禍においても「こんな時だからこそ元気を届けなくちゃ!」「頑張っている水族館を応援するんや!」と超水族館ナイトの定期開催を続けてくれました。

 

◆ vol.36/2020年06月 ◆
コロナ禍で無観客(配信のみ)となった回も。ずっと超満員が当たり前だっただけに衝撃の光景でした。

新型コロナウィルスの影響と言えば、中村さんのプロデュースで2020年春に予定してたサンシャイン水族館のクラゲの新展示『海月空感』もオープンが延期に…。同年7月になんとかオープンはできたものの感染拡大防止策で ”密を避ける” ため入場を制限しながらという寂しいお披露目となってしまいました。ちょうどその頃、すみだ水族館や京都水族館でもクラゲの新展示が完成・お披露目予定で、

中村
「水族館界にクラゲ大戦争を起こすはずがコロナに完全に水を差されてしまったね。海月空感はコロナ禍がなかったら凄いことになっていたよ!」

コロナ禍における新しい生活様式が定着し始めた頃には、

中村
田村龍太 館長(伊勢シーパラダイス)とか、まるのん丸野貴也さん/桂浜水族館)とか、ちょっと面白いトレーナー系の子たちをゲストに呼んだよね。」

テリー
「あれ、すごく面白かったです!」

桂浜水族館も、伊勢シーパラダイスも、コロナ禍という苦境にありながら、SNS、YouTube などで一生懸命に発信を続けてきた水族館。

中村
「僕はね、小さい水族館であっても、ショボイ水族館であっても、彼らのように正しい水族館の在り方の中で話題を作っていく姿勢はとても大好きなんです!」

 

◆ vol.42/2022年04月 ◆
ハマスイ旋風襲来!
元気と勇気を届けてくれた。

 

■ コロナ禍で衝撃の閉館が相次ぐ!

<Pick up!>
・vol.39(2021年)「水族館の明日はどっちだ!?」

とうとう恐れていたことが現実に…。中村さんが進めていたプロデュース案件(京急油壷マリンパークの建て替えリニューアル)が中止となってしまいました。

中村
「基本計画の策定が終わって『さぁ、やるぞ!』っていう時にね…。世界一の『これぞキタイワトビペンギン!』という凄い展示を作る予定でした。地上から屋上まで岩場を組んで、屋上にも居場所を作って、野生のキタイワトビペンギンが実際に棲んでいる場所を再現しようと考えていたんです。その展示を作るために野生のキタイワトビペンギンをこの目で見てこようと辺境コーディネーターの斎藤美香子さん(第14回/2014年にゲスト出演)に手配をお願いしてフォークランドに行く段取りをして旅費の支払いまで済んでいたからね。それができなくなりました…。」

話を聞けば聞くほど完成形が見たかった。鉄道会社系の水族館と言えば、近鉄グループの志摩マリンランドも 2021年3月末日を以て営業休止に。これも非常にショッキングなニュースでした。

 

2023/10/14