水族館プロデューサー 中村 元水族館プロデューサー 中村 元

イベントレポート

2024春(vol.46)~命の輝く水族館〜

第二部より

休憩を挟んで第二部がスタート。
水族館で命輝く瞬間を切り取るフォトグラファー、銀鏡つかささんと あきさんがステージへ。

 

銀鏡つかささん
(X:@tsukarium
あきさん
(X:@akira1027_photo

水族館写真ではすっかり有名なお二人ですが、このように並んでトークをするのは今回が初とのこと。客席にはファンの方も駆けつけていました。

あき
「誕生日の時にX(旧Twitter)で、つかささんと『一緒に仕事がしたいね』みたいな話をしていたんです。そうしたらその直後に中村さんから今回のお話をいただきまして…。」

テリー
「凄いタイミング!」

中村
「まぁ、神みたいなもんやからな!」

テリー
「自分で言うんですね(笑)」

銀鏡つかささんは水族館のガイド本も出しています。

 

『日本の美しい水族館』
銀鏡つかさ 【著】

 

テリー
「えっ、それって全国水族館ガイドを出している中村さんの競合相手ってことじゃないですか!」

中村
「なぁ。しかもきっとオレのガイドを見て取材に行く水族館とか決めてるんやぜ。」

銀鏡つかさ
「あはは。」(※図星らしい)

客席:(笑)

あきさんも 『幻想的な水族館の世界カレンダー』 を発売していて非常に好評だったそうです。

 

あきさんのカレンダー

中村
「二人とも構図とか光の使い方とかめちゃ上手くて、デジタル一眼時代の申し子ていう感じなんよ。」

銀塩写真でテクニックを培った中村さんとは写真の撮り方やアプローチ自体が大きく異なるそうで、中村さんも今回のトークを非常に楽しみにしていた様子。まずは二人の写真をご覧ください。銀鏡つかささんから!

 

銀鏡つかさ
(アクアマリンふくしま)

 

福島県沖で合流する黒潮と親潮を三角トンネルの左右で再現したアクアマリンふくしまの「潮目の海」を撮影したもの。中村さんも「なかなかこの角度では撮らない」という大胆な構図です。

 

銀鏡つかさ
(アクアマリンふくしま)

 

これもアクアマリンふくしまから。SNSでも大反響だった1枚。つかささん本人も「水族館で撮ったとは思えないカッコイイ写真が撮れた!」と自画自賛。

中村
「この写真もそうだけど、この二人は縦構図の写真が結構多いのよね。横構図で撮った方が後で写真素材としての使いやすかったりするんやけど、そんなことよりも今この瞬間を切り取るのに一番良い構図を優先しているということやな!」 

続いて、あきさんの写真です。

 

あき
下田海中水族館
〜アクアドームペリー号


あき
(海遊館)

 

海遊館はあきさんが水族館が好きになったキッカケの水族館だそうで、幼稚園〜小学生の頃に遠足で訪れた際に大きなジンベイザメに感動し、以来、水族館が好きになったそうです。子どもの頃だけに余計に大きく感じたことでしょう。

あき
「なので、そのジンベイザメの迫力というものを伝えたくて、ダイナミックに存在感が伝わるような切り取り方をした感じですね。」

 

Q: いつどのようにして水族館で写真を撮るようになったの?

銀鏡つかさ
「僕は大学は建築学科だったんですけど、大学の購買の書籍コーナーに中村さんの『全国水族館ガイド115(一つ前のバージョン)』が置かれていて、ある日それが目に止まったんですね。その時、突然何を思ったのか『水族館って日本に100箇所以上あるんだ。全部行ってみたいな!』と思ってしまって(笑)。」

いざ、水族館巡りを始めたつかささんですが、途中までは iPhone だけを頼りに記録程度に写真を撮っていたそうです。

銀鏡つかさ
「30〜40館ぐらい訪問したところで、せっかくこんなに水族館に行っているのだから、もう少しちゃんとした写真を撮ってブログやSNSで紹介できたらいいなと思うようになって、そこで初めてカメラを買いました。それが4年前ですね。でも最初は作品撮りとかはしていないくて、やはり記録メインでした。単焦点レンズ1本で生き物と水槽、それと魚名板も撮る…みたいな感じで。元々旅行好きで旅先に水族館があればついでに寄るみたいな感じだったんですけど、いつの間にか水族館にしか行かなくなりましたし、写真もいつの間にか本格的に…。見事に沼にハマりました(笑)」

客席:(拍手)

つかささんは建築学科出身だけに、建築目線で空間を捉えた写真も多い。

 

銀鏡つかさ
(栃木県なかがわ水遊園)

 

銀鏡つかさ
(上越市立水族博物館 うみがたり)

 

テリー
「ホントだ!建築写真っぽい!」

一方、あきさんは先ほど紹介したジンベイザメのように生き物にフォーカスを当てた写真を得意としています。水族館で写真を撮るようになったのは8年前からだそうです。

あき
「水族館は好きでよく通っていたんですけど、当時の iPhone だとなかなか綺麗に撮れなくて。 それでカメラを買ってチャレンジしたのが始まりです。大学生の頃ですね。関西だったので海遊館や京都水族館に行って、ひたすら趣味で写真を撮り続けているうちに、いつの間にかこんなふうになった感じです(笑)」

 

あき
(箱根園水族館)

 

この写真はあきさんの2024カレンダーの表紙としても使われています。

テリー
「凄い!もう映画のポスターみたいじゃないですか!」

中村
「そうやね。この光のやわらかさは凄いなぁ、オレにはよう撮れんわ。」

あき
「この写真、実は水族館だからこそ撮れた写真なんです。」

箱根園水族館のアザラシ広場の水中観覧室から撮ったそうですが、実際に観に行ったことがある人は分かると思いますが、季節によってはガラス面に結露が目立ちます。水槽の傍にワイパーが置いてあり観覧者が結露を除去して見やすくするセルフスタイル。その水滴がソフトフォーカス効果となって、水面からの日差しと相まって幻想的な1枚に仕上がったそうです。

 

2024/02/24