2024春(vol.46)~命の輝く水族館〜
Q:命を輝く瞬間をどう見つけ出す?
これに関してはつかさん、あきさん、中村さん、三人とも意見は一緒でした。
観察をすること!
銀鏡つかさ
「まず観察ですね。撮りたいと思った被写体を見つけたら、どういう動きするのかなとか、どこでターンするのかなとか、たまにジャンプするならジャンプをする時は一体何が起こっているんだろうとか、色々と観察しながら『じゃあ、次はこの時この場所で飛ぶんじゃないか!?』みたいな予測を立てて、そこで待ち構えます。真逆で飛ばれることもありますけどね(笑)。でも、まず観察です! 」
あき
「僕も観察から始めますね。カメラマンは常に被写体の数秒先の未来を見ていると思っていて、もちろん予想が外れちゃう時もあるんですけど、自分の好きな瞬間がきたらシャッターを切る。そういうことをやっているのかなっていうふうに思ってます。」
中村さんも観察から撮影に入るそうですが、動物写真家の岩合光昭さんの考え方に準じているそうです。
中村
「岩合さんは狩人の考えと一緒だと言っていました。 銛で打つにしても鉄砲で撃つにしても1回失敗したら野生動物は二度とそこを通らなくなってしまう。だから、そうならないようにまずじっくり観察して、色々な状況を把握し理解した上で一番おいしい場面でシューティングするんやって。だって昔の(銀塩)カメラはフィルム1本で36枚しか撮れないわけよ! 無駄撃ちできない! 今はデジタルやから気にしなくていいと言うかも分からんけど無駄撃ちすると観察ができないよね?」
銀鏡つかさ
「あ、僕は全然無駄打ちしますよ。デジタルの恩恵を受けまくってますんで。」
中村
「そうなん…!?」
テリー
「時代は変わりましたね(笑)」
観察が大事という点では三者一致していますが、銀塩からデジタルに移行した中村さんとデジタルネイティブなお二人では、連写や無駄撃ちに対する考え方がだいぶ異なる感じで面白かったです。
もう少し二人の写真を見ていきましょう。
色々な水族館でイワシの群れを見てきたつかささんが「最もキレイで1番好きかも!」と語る海きらら「九十九島湾大水槽」のイワシの群れ。水槽の上には屋根がないため、直射日光がそのまま水槽内に降り注ぐことによる青と緑の水塊グラデーションとイワシの煌めきが美しい。
アクアマリンふくしまの熱帯アジアの水辺(マングローブの森)にいるベニシオマネキ。あえて560mmの望遠で狙って撮ったという。想像を超えた世界がそこに。
驚異のマクロ撮影技術! ここまでくっきりはっきりしたクリオネの写真はなかなかお目にかかれません。
中村
「これ良く撮れたよね? オレのミラーレス一眼はマクロのマニュアルフォーカスでこんなにピント合わへん。メーカーの違い? レンズの性能? 腕の違い?」
銀鏡つかさ
「いや、僕もマクロ撮影は結構苦労しています。カメラによっては(合焦位置を教えてくれる)フォーカスピーキングという機能がありますけど、あれも補助的なもので意外と信用ならない。なので僕はフォーカス位置をずらしながらの連写で撮っていますね。」
中村
「なるほど!そういう時の連写か!」
デジタル世代強し!
コチラはあきさんのテクニカルな写真。(魚はボドワード…かな?)
あき
「サンシャイン水族館の2階(水辺の旅)にいたナマズの仲間なんですけど、解説を見るとが日中はひっくり返って寝ていますとありました。普通にシャッターを切っちゃうと他の魚もみんな止まって見えてしまい、この魚の特徴である「寝ている」ことが伝わらないので、シャッタースピートを遅くして、寝ている被写体の魚は止まっているけれども、他の元気に動いてる魚は残像として写るようにしてみました。写真を通して何を伝えたいかという理想が自分の中にあって、それを体現するのに一番適した技術は何かを考えるのが良いのかなと思います。」
水族館での被写体ブレを意識してシャッター速度を上げがちですが、そんな固定観念を崩してみると表現の幅も広がります。
あき
「マクロレンズで撮影してます。水面に浮かんだ泡がレンズでボケて、 キラキラした幻想的な写真になりました。この子たちが棲んでいる世界がきらびやかに見せられたらな…と思って撮った写真です。」
中村
「ねっ、二人の写真、命が輝いているやん!」