水族館プロデューサー 中村 元水族館プロデューサー 中村 元

イベントレポート

2024秋(vol.48)~動物園水族館の使命〜

 

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東京カルチャーカルチャー(カルカル)にて『中村元の超水族館ナイト2024秋』が開催されました。通算では第48回目。2025年夏に予定されている第50回を以って年3回の定期開催が終了となるため、今回を含めて残りあと3回のところまで来ました。いよいよラストスパートといったところです! 中村さんのトークにもより一層熱が入ります。

 

中村元さん
(水族館プロデューサー)

 

テリー植田
(司会進行/イベントプロデューサー)

 

『超水族館ナイト』が始まってちょうど16年、これまでに様々なジャンルで活躍されている方々をゲストに迎えてきましたが、

中村
「(水族館、動物園など)関連業界の人にゲストに来て頂くのは今回が最後になります。次回(第49回/2025春)のゲストはもう決まっていて、第20回記念の時にも来ていただいた ”ライオンに食われた人”!」

テリー
「松島トモ子さん!なんと次回10年ぶり2回目の登場!」

中村
「そして、最終回となる第50回目はゲスト無しで僕の一人トークにしようと思っているのね。だから(ゲストとテーマに沿った対談を行う)いつもスタイルの超水族館ナイトは、そう、今日が最後やで! ようこそ!」

客席:(大拍手)

中村
「そして、最後ということで、俺さ、メチャクチャ我儘さしてもろてな、ず~~っと前から対談したかった人を今日のゲストに選んだんや!」

なんと聞いてビックリ、超ビッグゲスト! 日本最北の動物園を入園者数日本一に復活させた旭山動物園の元園長・小菅正夫さん(現・札幌市環境局参与/札幌市円山動物園担当)が北海道から来てくれました。

中村
「俺ね、小菅さんのことを本当に尊敬していて、スゲェ会いたかったのよ! ちょうど1年ぐらい前に初めて会うことが出来てメチャ興奮したわけ! 話も盛り上がって、もう喋っているそばからストンストン腑に落ちていくし、もう楽しくって楽しくって! こんな話を超水族館ナイトでもできたらいいなぁと思ってたんや!」

テリー
「なるほど、二人だけの話にするのは勿体ない!?」

中村
「そう、勿体ない! …というか、あまりの嬉しさと興奮で、実は小菅さんと何を喋ったか殆ど覚えていないんよ(苦笑)。だから今日は(公開で)もう一度最初からお話させていただこうかな…と!(笑)」

そんなこんなで、中村さんと小菅さんによる ”超水族館&超動物園トーク” がまさかの実現! それでは、そんな奇跡の一夜をレポートしていきます。

 

恒例の乾杯でイベントスタート!
ご覧の通り超満員!

 

乾杯の挨拶では、中村さんの愛弟子(筆頭門下生)である小林龍二さんが館長を務める蒲郡市立竹島水族館(タケスイ)の話題が…。

中村
「今日ここに来てくれている人の多くはご存知だと思うんですけれど、つい先週(2024年10月1日)、竹島水族館がリニューアル(新館増築)しました。なんと、今回は初めて、額はささやかやったけど、ちゃんとアドバイス料を貰っちゃったりしたんです。なので、竹島水族館が今まで以上に大流行りすること、そして、ここにいる皆様のご健康を祈念いたしまして乾杯をさせていただきたいと思います! 乾杯!」

 

☆☆☆ 特別メニュー紹介 ☆☆☆

超水族館ナイトでは毎回レシピの異なる『超水族館カクテル』が提供されています。毎回と言いつつ前回(第47回)はカルカルのマンパワーの関係で提供ができませんでした(楽しみにされていた方にはゴメンナサイ)。その分、今回はなかなかの力作に!

 

超水族館カクテル
ライチリキュール+トニックウォーター+ブルーハワイ風ゼリー+ミント+マラスキーノチェリー

 

イルカのライムピールと
魚のレモンピールがアクセント

 


 

第1部より

 

始まりました。
前半は中村さんの一人トーク。

 

ご紹介が遅れましたが、今回のトークテーマはコチラ!

『動物園水族館の使命』

テリー
「中村さん、このところ使命感を背負い過ぎじゃないですか?」

中村
「あはは。最近の超水族館ナイトでは、こんな感じの話ばっかりしているよね?。使命とか、役割とか、存在意義とか…。いつも来てくれている常連のお客さんは『またこの話かよ』なんて思っているかも分からんけど(苦笑)」

<参考リンク>
2024夏(vol.47)~生き残る水族館・厳しい水族館~
2023夏(vol.44)〜日本の動物園水族館に未来はあるんか?~
2021夏(vol.39)〜水族館の明日はどっちだ!〜
2019秋(vol.34)〜命を展示するということ〜 

それだけ中村さんが動物園・水族館の将来に大きな不安を感じているということなのでしょう。

時代の流れで、近年、動物園や水族館に対して世間から厳しい目が向けられています。それに対して、国内の多くの園館が加盟している日本動物園水族館協会(JAZA)では「4つの役割」を掲げ、その存在意義を説明しているのですが、その詳細を見ていくと動物園・水族館の本質から外れた自己弁明に終始しており、中村さんも「あれでは誰も納得しない!4つの言い訳や!」とバッサリ。

中村
「時代も変わってきたし、動物園ありき、水族館ありきの ”言い訳” ではなく、今の時代における ”動物園水族館の使命” について、ちゃんと語っておきたいなと思っているんです。これも昔から何度も言ってきたことやけど『野生の命を捕まえてきて狭い檻や水槽に閉じ込めている意味はどこにあるんや!?』って。 僕自身も(水族館プロデューサーという立場ながら)囚われの身になっている生き物たちを見るのは凄く可哀想なんです。」

中村さんは以前こんな話をしてくれました。水族館で展示されている生き物たちには本当に申し訳ないけれど、種の代表選手として自然界から来てもらっています。水族館は彼らを連れてきてしまった責務として、その生き物のことや彼らの生息地のことを一人でも多くの人に見て知ってもらうことで、自然界にいる彼ら身内に良いこと(野生での種の保全)が起こるようにしていかなければならない…と。

中村
「水族館は生き物や彼らがいる水中の世界があることを人間社会に伝えることで、生き物や自然を大切だと思ってくれる人を増やし、ひいてはこの地球環境を守っていく。この重大な使命があるから、色々な批判もあるし、僕自身の葛藤もどんどん増えていくけれど、それでもやらなくちゃいけないと思っているのね。」

逆に言えば、正当な使命を持たない水族館、使命を果たせていない水族館はあってはならないということ。それは動物園についても然りです。

 

2024/10/20